毎年1月下旬に中山競馬場の芝2,200Mのコースを使って開催されるAJCC(アメリカジョッキークラブカップ)は、グレードⅡ(G2)の重賞レースで今回で57回目になります。20年以上前葉2,500Mや2,400Mで行われていたのですが、ここ20年位は2,200Mで開催されています。

このレースの近年の特徴は、6歳以上の馬が3着以内になる確率が高いです。2011年以降の直近5回のレースでは8頭が6歳以上の馬です。そのうち8歳馬が3頭、7歳馬も1頭います。2010年は顕著で、8歳が1頭と7歳馬2頭という結果でした。4歳以上の馬が参加できるのですが、4歳馬が馬券に絡んだのは直近5回では2頭だけです。

今回も2010年以降で中山芝2,200で開催されたレースで、オープンクラス以上のデータを集めました。特殊距離でもあるので、1年回に3回しか同じ距離のレースがありません。今回のAJCCの他にオールカマーとセントライト記念が該当しますが、そのデータも含めて傾向を見てみましょう。

父系の種牡馬の傾向と分析

父方の血統を見てみると、ジャングルポケット、ホワイトマズル、マーベラスサンデーの勝率が高くなっています。キングヘイローも高い勝率ですが、これは昨年優勝したクリールカイザーの父がキングヘイローだったからです。

父系の種牡馬別成績表

2010年以降のAJCCでは、 ハーツクライやディープインパクト産駒も馬券に絡んでいます。今回のキーポイントは、トニービンとノーザンダンサー系のリファールの血統だと思われます。ジャングルポケットとディープインパクト、ハーツクライに共通するのは、トニービンもしくはリファールの血が入っていることです。ちなみにホワイトマズルもリファールの血が入っています。ここのコースでは、キングマンボ系のキングカメハメハは少し分が悪いかもしれません。

母父系の種牡馬別成績表

母父の血統を見ると、スペシャルウィークが数字上では圧倒的な存在感を示しています。カコイーシーズも複勝率が100%ですが、2頭しか走っていないのでデータの信頼性はやや落ちると思います。しかし、 2012年にナカヤマナイトが2着に入り、この母父がカコイーシーズでした。

母父系の種牡馬別成績表

近年のAJCCで3着以内に入った馬の母父の血統でも、トニービンとリファールの血があります。 2012年に優勝したルーラーシップは、父がキングカメハメハですが母父がトニービンでした。父系と母系の血統を総合的に評価した場合、トニービンの血は要注意だと思います

 

騎手別の成績を見る

騎手別の成績を見てみると、田辺騎手、池添騎手、藤田騎手の勝率と単勝回収値のバランスがよく見えます。逆に横山騎手や蛯名騎手の勝率は意外に低めになっています。

騎手別成績表

田辺騎手は、 2010年以降オープンクラス以上のこの距離で3回勝っていますが、その3回とも一番人気でない馬で優勝しています。2013年のオールカマー(9番人気)と2014年のAJCC(4番人気)ではヴェルデグリーンで、昨年にはクリールカイザー(2番人気)で優勝しています。

ちなみにヴェルデグリーンとクリールカイザーは、トニービンかリファールの血が入っています。

人気別の成績を見る

人気別の順位を見てみると、1番人気から5番人気馬では勝率の差はそれほどないことが分かります。新馬戦や未勝利戦のように極端に実力差がないレースになるのでこのような混戦になるのだと思います。

人気別の成績表

このデータを見てみると、 10番人気以降はほとんど馬券に絡んでいないことがわかります。 9番人気の部分で1着と2着がそれぞれ1回ずつという結果を出していますが、これは先ほどにも書いた通り、2014年のAJCCでのヴェルデグリーン(父がジャングルポケット)と2010年のAJCCシャドウゲイト(父がホワイトマズル)です。全体的には大きな波乱はあまり期待できないかもしれません。

前走の距離別成績を見る

前走の距離別成績に関しては、前回が2,200より長い距離を使った馬の方が成績が良いのはわかります。前走が2,500を使った馬が1番勝率が高いです。2,400も複勝率自体は高い。

前走の距離別成績表

3,000メートル以上の距離のデータは、分母の数が少ないので一概に有利かどうかは正直わからないと思います。なにしろ2,200の距離は、馬もあまり走る機会が多くないので走ってみないとわからないという部分も正直あります。ですから2,200のような距離は前走距離のデータを過剰に重きを置く必要はないと思われます。

枠順別成績を見る

枠順別の成績のデータは、1枠と8枠、さらに4枠がいちども勝ってない事が分かります。6枠が1番多く勝利していますが、複勝率は他の枠の方が高いです。

枠順別成績表

これだけ極端な差があると、内枠が有利なのか外枠が有利なのかを判断するのが難しいデータになっていますね。 1番勝率が高い6枠に関しては、1番人気と2番人気に限って100%の複勝率になっています。つまり、もし2番人気以内で6枠からスタートする馬がいた場合は期待が持てる可能性が高いという考え方もできます。

調教師別の成績を見る

調教師別の成績を見てみると、相沢郁調教師がいい成績を収めています。相沢調教師と田辺騎手のコンビだと3戦3勝という素晴らしい結果を残しているのです。

調教師別成績表

他にも戸田博文調教師や、角居調教師の成績も良いです。知名度の高い池江調教師は過剰人気気味で、単勝回収値が100を切っています。

まとめ

このレースでは、過去の実績を鑑みても、とにかくトニービンとリファールの血が非常に重要なキーポイントを握っているし、6歳以上の比較的高齢の馬も馬券に絡んでいることも忘れてはなりません。私としては、この血統と年齢、騎手や調教師等を総合的に評価して予想してみたいと思います。


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