JRAにはレースのクラス分けがされていて、馬の年齢や獲得賞金毎に細かく分かれています。
競走馬は出走したレースで勝利すると、次戦は一つ上のクラスのレースに出走できます。
連勝していくと、とんとん拍子にクラスが上がっていき、G1出走できるような強い馬であれば下のクラスではあっさりと勝ち上がっていきます。
このページでは、直前のレースで勝利し、一つ上のクラスに出走する馬(昇級馬)をどのように評価すれば良いかを実際の統計データを見ながら分析していきたいと思います。
また、4歳馬は夏競馬が始まる前に獲得賞金が半額になる事で、一部の馬のクラスが下がる事があります。
これを降級馬といいます。この降級馬が出走するレースを降級戦といいますが、この降級戦の狙い方もデータで分析したいと思います。
今回の目次
昇級馬の買い方
一つ下のクラスで勝って、昇級してきた馬を評価するのは意外と難しいです。
競馬新聞やインターネットの競馬サイト等では、出馬表に直近5走のデータを見る事が出来るものが沢山有ります。
その中に1着という結果が書いてあると、たいていの人は「この馬は強いかも」という心理になります。
それがたとえ一つ下のクラスであったとしても、出馬表に1着と書いてあるのは見栄えが良いのです。
この様な馬は人気になるケースがあり、馬券を買うときにその昇級馬を買おうか迷う場面が多々あります。
しかし、本当に昇級馬がどんな結果を出しているかをデータで見る事も大切だと思います。イメージだけで馬券を買うのはお勧めできないからです。
それでは実際にクラス毎に昇級馬の可能性を見てみたいと思います。
新馬戦を勝って500万下クラスに出走してくる昇級馬の場合
まずは500万下に昇級馬ば挑む場合です。500万下クラスの下のクラスは新馬戦か未勝利戦しかありません。
この下のデータは新馬戦、つまりデビュー戦で勝った馬がキャリア2戦目に挑戦する時の前走着差別の成績です。
このデータでは、前走で着差無しでギリギリで勝ち上がってきた馬の勝率は0%となっています。連対率も11.5%、複勝率は15.4%しかありません。
デビュー戦を勝っても、その勝ち方がギリギリでの勝利の場合、上のクラスに上がっても勝てない場合が殆どの様です。
着差が0.1秒から0.2秒ほど離して勝利してきた場合は、勝率が16.4%とグッと高くなります。複勝率も43.6%とかなり高くなります。
さらに0.3秒から0.5秒差で快勝してきた馬の場合、勝率が21%を超えてきます。やはり前走で大差を付けて勝ってきた馬ほど、昇級戦で好走する確率が高くなります。
しかし、前走で1秒以上の着差を付けて大勝してきた馬でも、勝率が25%と4回に1回しか勝てていないのです。
未勝利戦を勝って500万下クラスに出走してくる昇級馬の場合
今度は前走が未勝利戦で勝ってきた馬の着差別の成績のデータになります。
未勝利戦で着差無しで勝ってきた馬の勝率は6.3%と新馬戦を勝ってきた馬よりは確率が上がります。
しかし、連対率と複勝率を見ると新馬戦でのデータを差は無く、連対率が10.2%、複勝率が17.6%という数値になっています。
未勝利戦のデータを見ても、前走で着差が大きい馬ほど確率が高くなります。
少し違うのは0.1秒差から0.5秒差で勝ってきた馬の複勝率が、新馬戦を勝ち上がってきた馬の方が高い事です。
新馬戦を圧勝してきた馬と、未勝利戦を圧勝してきた馬のどちらが馬券になる確率が高いかというと、新馬戦を圧勝してきた馬の方が確立が高いです。
500万下クラスを勝って1000万下クラスに出走してくる昇級馬の場合
次に前走500万下クラスで勝利した馬が1000万下クラスに昇級してきたケースを見てみましょう。
下のデータを見ると、未勝利を勝ち上がってきた馬よりも成績が良いですが、新馬戦を勝ち上がってきた馬よりは確率が落ちます。
未勝利戦の時よりも確率が上がっているのは、未勝利戦の時よりも500万下クラスの方が競争が激しいからだと思います。
未勝利に出走する馬の中には、生涯1度も勝てないような弱い馬も含まれています。しかし、500万下を走るすべての馬は、1度は勝利した経験のある馬だからです。
すべての馬が1度勝っている中で、さらに2勝目を上げるには1勝目を上げるよりも価値が高いのです。
この理屈が正しいとするならば、次のもう一つ上のクラスのデータではさらに確率が上昇するはずです。
それでは今度は1000万下クラスを勝ってきた昇級馬を見てみましょう。
1000万下クラスを勝って1600万下クラスに出走してくる昇級馬の場合
今度は1000万下クラスに勝利し、1600万下クラスに昇級してきた馬の前走着差別の成績です。
やはり確率の部分を見ると、先ほどよりもさらに上昇しています。前走で着差無しで勝ってきた馬でも、勝率が10.9%もあります。
0.3秒差から0.5秒差で勝ってきた馬の勝率も20%、複勝率が45%と高いです。
1600万下クラスに上がってくる馬は、すでに3つ勝ってきているという事なので、力のある馬が多いという事だと思います。
もし昇級馬を狙って馬券を買いたい場合、1600万下クラスのレースに出走してくる昇級馬を狙う事が理論上、最も確率が高いことを覚えておいて下さい。
1600万下クラスを勝ってオープン特別クラスに出走してくる昇級馬の場合
最後に1600万下クラスを勝って、オープン特別クラスに挑戦してくる昇級馬の確率のデータです。
このデータを見ると、一つ下の1600万下クラスに出走してくる昇級馬の確率の方が高いのが分かります。
この要因は、オープン特別クラスには過去に1度オープン特別クラスを勝った事があり、重賞レースで好走したような馬が再び出走してくるケースがあるからです。
そうなると、必然的にレベルが高くなってしまいます。下級クラスであれば、そのクラスで1度勝利すれば次戦は上のクラスでレースをします。
しかし、オープン特別クラスでは重賞で好走したような馬も参戦してくるので、昇級馬の活躍できる確率が相対的に落ちます。
ですから先ほども言ったように、昇級馬を狙うなら1600万下クラスのレースで狙う事がベストなのです。
降級馬の買い方
降級馬とは、4歳馬が夏競馬が始まる前に獲得賞金が半分なる事で出走するクラスが下がる馬の事を言います。
降級馬は出走するランクを下げてくるので、自然と強い馬が多くなります。実際にデータを見ながら解説してみたいと思います。
1000万下クラスから500万下クラスへ降級した場合
まずは、1000万下クラスから500万下クラスへ降級した馬の前走着差別の成績です。
下のデータを見ると、降級馬は昇級馬よりも明らかに馬券になる確率が高いです。
前走着差で1秒以上の大差で負けて降級してきた馬でも、勝率が二桁あり、単勝適性回収値も100を超えています。
前走で惜敗してきて降級してきた馬は、降級戦では人気になる場合が多いので、必然的に単勝適性回収値が低くなります。
つまり、降級馬というだけで過剰人気になるケースが多いという事です。
逆に前走で1秒差以上の大敗を喫してきた馬の方が、回収率が高いのです。
1600万下クラスから1000万下クラスへ降級した場合
次に1600万下クラスから1000万下クラスへ降級してきた場合のデータになります。
このデータを見ても、前走で惜敗してきた馬の方が確立は高いです。
しかし、回収率自体はそれほど高くないので、やはり過剰人気になってしまうようです。人気になる降級馬を買い続けても、長期的には儲からない可能性が高いというデータになっています。
オープン特別クラスから1600万下クラスへ降級した場合
最後にオープン特別クラスから1600万下クラスへ降級してきた場合です。
今までと同様に、惜敗してきた馬の方が確立は高いですが、回収率は高くありません。
降級馬で長期的な回収率を高めたい場合、1000万下クラスから500万下クラスへ降級してきた馬で、前走で大敗してきた馬を狙う事が最も回収率が高くなります。
まとめ
昇級馬と降級馬を比較した場合、降級馬の方が馬券に絡む確率は高くなります。
しかし回収率で評価した場合、降級馬が決して儲かる馬券ではないという事も念頭に入れてほしいです。
降級馬で長期的な回収率を上げたい場合は、1000万下クラスから500万下クラスへ降級してきた馬が良いです。
さらにその中で、前走で大差で負けてきた馬がお勧めです。前走の大敗で人気が無くなって、おいしい馬券になる可能性が高まるからです。
逆に昇級馬で儲けたい場合、1600万下クラスのレースに出走してくる昇級馬が最も確率が高まります。
500万下クラスや1000万下クラスよりも、力の差が小さいので、1000万下クラスを勝ち上がってきた馬がそのまま1600万下クラスでもあっさり馬券に絡む事が多くなるからです。
この様に統計データで客観性をもって分析してみると、クラス別に多少の傾向の違いが分かってきます。
この様なデータ分析をすることで、少しでも皆さんの長期的な回収率(的中率よりも回収率が大切)の上昇に貢献できれば幸いです。
よかったら参考にして頂ければと思います。