競走馬にとって生涯唯一のレースが新馬戦です。新馬戦で勝った馬は昇級して500万下クラスに挑戦し、新馬戦で敗れた馬は未勝利戦へと挑戦します。
皆さんは、新馬戦は難しいというイメージがあると思います。確かに新馬戦は不確定要素が多く、的中するのは簡単ではありません。
そんな新馬戦の馬券を買う時に、どんな事に気をつければ良いかを客観的な統計データにポイントを絞って考えてみたいと思います。
今回の目次
単勝オッズによる確率
新馬戦にしかない特徴は、過去のレース実績が全くない事です。レース前の調教が良かったり、当日のパドックでの落ち着きがあったとしても、本番では全然ダメなケースもあります。
新馬戦の馬券を買い慣れていない人にとっては、レース当日の単勝オッズを参考にする事も大切だと思います。
新馬戦に限らず、単勝オッズが人気になっている馬は統計的には勝率が高いのは確かです。
しかし、重賞レースと新馬戦の2つのレースのオッズと勝率の相関関係を比較すると、違う傾向があるのです。
新馬戦は単勝オッズに素直に従っても良い
まず結論から先に言うと、重賞レースでは単勝オッズの人気度と勝率が必ずしも比例しないのですが、新馬戦に関しては単勝オッズが人気であればあるほど勝率が高いのです。
下の2つのデータを比較してみて下さい。上のデータは2015年1年間に開催された重賞レースの単勝オッズ別の成績表です。
下のデータは、2015年1年間に開催された新馬戦の単勝オッズ別の成績表になります。
この2つのデータを比較すると、新馬戦では単勝オッズが低倍率になるほど勝つ確率が上がる統計になっています。
特に単勝オッズが1.0~1.4の断然人気の馬は、勝率が54.5%で複勝率が90.9%と極めて高い確率で馬券になります。
逆に重賞レースでは、1.0~1.4の単勝オッズの馬は2015年は一度も勝てませんでした。
単勝オッズが2.9倍以下の馬でも、重賞レースでは20%前後の勝率しかないのです。
重賞レースの場合は参戦する馬の過去のデータが沢山有るので、新馬戦より固定観念が強くなります。
それによって過剰なイメージが形成され、人気馬は余計に馬券を買われてしまうのです。
新馬戦ではそのような固定観念が無く、調教や血統傾向による前評判のみで馬券が買われます。余計な過去のイメージが付いていないのが、逆に良いのかもしれません。
もし、新馬戦でどの馬を本命にするか迷った場合は素直に直前の単勝オッズを参考にするのが良いと思います。
1番人気の馬が必ず勝つわけではないですが、統計データでは単勝オッズが低いほど良い結果を出すという事実があります。
血統別による確率
新馬戦を予想するうえで、血統も重要な要素なのは他のレースと同様です。
これから見ていくデータは新馬戦を距離別に分割し、短距離、中距離、中長距離の3つに分けて、その距離別毎の種牡馬別の成績を分析します。
※統計データは2014年から2016年7月までの約2年半のデータになります。
1000m~1300mの新馬戦(芝)
まずは短距離の新馬戦での種牡馬別のデータです。この中ではダイワメジャーやサクラバクシンオー産駒の成績が素晴らしい事が分かります。
ダイワメジャーに関しては、勝率が26.5%、連対率が35.3%、複勝率が55.9%という高い水準にあり、単勝適性回収値も118と期待に応えてくれる数字になっています。
サクラバクシンオーもダイワメジャーを超える成績を出しており、勝率が43.8%、連対率が62.5%、複勝率が68.8%という数字になっています。
そのほかにはスウェプトオーヴァーボード、エンパイアメーカー、ホワイトマズルなども高い回収率があります。
一見すると、ダートに適性があるような産駒でも新馬戦の芝でも好走する場合も少なくありません。
1000m~1300mの新馬戦(ダート)
ダートの短距離になると、ケイムホームの勝率が目立ちます。勝率が38.5%と高い確率で勝つというデータになっています。
他にもキンシャサノキセキやタイキシャトル、サクラバクシンオー産駒もダートの短距離新馬戦で狙える血統だと思います。
1400m~1600mの新馬戦(芝)
次に中距離の新馬戦のデータを見ていきましょう。
1400mから1600mまでの芝のレースでは、予想通りディープインパクト産駒の勝率が高いです。
20.7%の勝率、38.8%の連対率、複勝率は50%もあります。
しかし、単勝適性回収値では68.4と100を下回っており、ディープインパクト産駒だからといって馬券を買っても長期的には儲からない馬券になってしまっています。
単勝適性回収値が100を超えている産駒は、ハービンジャー、クロフネ、マツリダゴッホ、チチカステナンゴ、ショウナンカンプです。
回収率が高くないディープインパクト産駒ですが、勝率自体は間違いなくトップだと思うので、新馬戦で人気になっているディープインパクト産駒はマークした方が良いと思います。
1400m~1600mの新馬戦(ダート)
ダートになると、クロフネ産駒とパイロ産駒の強さが目立ちます。
この2頭は単勝適性回収値も複勝回収率も100を大幅に超えているので、この距離のダート新馬戦では、是非狙ってみてほしいと思います。
そのほかには、ゼンノロブロイ、カネヒキリも高い回収率があります。
少し意外なのはキングカメハメハ産駒の成績です。勝率が10.7%、連対率が17.9%と決して高くない数字なのです。
ダートにも強い血統というイメージですが、もう少し距離が長いダートの方が明らかに良いようです。
1700m~2000mの新馬戦(芝)
最後に中長距離の新馬戦のデータを見ていきましょう。
まずは芝のレースからですが、ここでもディープインパクト産駒の強さが際立っています。
勝率が24.1%、連対率が44%、複勝率が56%という数字になっていて、1400m~1600mのレースよりも確率が上昇します。
この範囲の距離が最もディープインパクト産駒の強さを発揮できるのだと思います。
そのほかには、マンハッタンカフェ、キングカメハメハ、ハービンジャー産駒も強さを発揮しています。
単勝適性回収値を基準に評価した場合、100を超えているのはマンハッタンカフェ、ゼンノロブロイ、ジャングルポケット、ヴィクトワールピサ、スペシャルウィーク、スクリーンヒーロー、ダンスインザダーク、タニノギムレット、サムライハートが該当します。
単勝適性回収値が高い産駒が多いのは、ディープインパクト産駒が過剰人気になるだけに、その他の馬が勝利すると回収率が一気に上昇するからだと思います。
1700m~2000mの新馬戦(ダート)
ダートの中長距離も見てみましょう。
この距離になると、キングカメハメハ産駒の本領発揮となります。短い距離よりも勝率や複勝率がグンと高くなります。
単勝適性回収値も112と100を超えるので、この距離のダート新馬戦では軸馬にしても良いと思います。
他にもゴールドアリュール、クロフネ、マンハッタンカフェ、ネオユニヴァース、シニスターミニスター、ブラックタイド等の回収率が高いです。
まとめ
競走馬の多くは1勝も出来ずに現役生活を終える馬であり、競馬に勝つというのは生まれ持った才能が一定のレベルに達してないと無理です。
そういう意味では、新馬戦で勝てる馬は血統に影響される場合が非常に多いと思います。
このページでは、新馬戦で的中率や回収率を上げる為に客観的なデータを引用して分析しました。
新馬戦で勝つにはこの様な客観的な数字のデータだけでなく、パドックや返し馬での状態や調教の様子も非常に重要です。
しかし、パドックや返し馬での見方は客観的ではなく主観的な評価になります。主観的な評価は人それぞれの見方があります。
今回のテーマは、多くの人に平等に情報を提供するという趣旨なので、主観的な評価ではなく客観的な数字のデータだけで分析しました。
このデータをご覧頂く事によって、少しでも新馬戦での回収率に貢献できれば嬉しく思います。